前回の記事を編集しながら、ふと立ち止まって考えたことがあります。
「そもそも今の子どもたちは、本当に塾(学校別テスト対策)に通わないと、公立高校に合格できないレベルなのだろうか?」
私たち親世代の感覚では、公立高校入試は「教科書をきちんと理解していれば解ける」ものだったはずです。
それが今は、専門の対策なしには太刀打ちできないと言われる。
これは、入試そのものが難しくなったのか、それとも教科書の中身が入試に追いついていないのか——今回はこの疑問を、データをもとに考察してみます。
塾通いをさせることが本当に必要ならそれをしっかり認識して、その必要な部分のAIへの置き換えを考えていきたいと思います。
1. 結論:教科書自体が「別物」になっていた
先に結論を書きます。今回調べてわかったのは、「入試だけが難化した」のではなく、「2021年度の学習指導要領改訂によって、教科書の中身そのものが大きく引き上げられた」という事実でした。
つまり、「教科書が入試に追いついていない」のではなく、「教科書自体が、私たち親世代とは別物になっている」というのが実態に近いようです。
2. 英語だけ単語数がほぼ2倍に
最も変化が大きかったのが英語です。2021年度から中学校の学習指導要領が変わり、英語は単語数が2倍、英文も2倍、高校英語から文法事項も前倒しとなったとされています。
具体的な数字で見ると、これまでの学習指導要領では中学校で1200語が目標とされていたのに対し、新しい学習指導要領では小学校で600〜700語、中学校で1600〜1800語を学ぶ計算になり、合計すると中学卒業までに2200〜2500語を学ぶことになりました。
単純計算でも、私たち親世代の約2倍の語彙数を、今の子どもたちは中学卒業までに求められていることになります。
単語数だけではありません。
中3の学習内容には、仮定法・現在完了進行形・原形不定詞といった、以前は高校で学んでいた文法事項が前倒しで降りてきており、これが入試の難度そのものを押し上げていると指摘されています。
さらに、英語による即興的なやり取りと、自分の考えをまとまった分量で発表する力が、それぞれ独立した評価対象になったことで、単に単語や文法を暗記するだけでは太刀打ちできない、スピーキング・表現力を問う出題も増えています。

3. 「小学校英語が前提」という大きな設計変更
今回の改訂で見過ごせないのが、中学校の授業が「小学校で英語を学んできたこと」を前提に設計されているという点です。
新しい中学英語は、小学生のうちに基礎的な英語力が身についていることが前提で授業が進められる「ロケットスタート」型になっているとされ、これまでの「スロースタート」(中1の最初からゆっくりbe動詞を学ぶ)とは根本的に設計が変わっています。
これはまさに、我が家が「小6のうちにAI家庭教師で先取り学習を始めた」理由そのものと重なります。
「中学に入ってからゆっくり慣れればいい」という前提そのものが、もう成立しなくなっているということです。

4. 英語以外の教科でも「記述力・思考力」重視への転換
これは英語に限った話ではないようです。
国語・社会・理科・数学といった他教科の入試問題を分析した記事でも、記号選択問題が約4割、語句記述・短文記述・長文論述の問題が約6割を占めるという分析や、資料の内容を正確に読み取り、それをもとに思考して解答にたどり着く問題が出題されているという指摘が見られました。
国語の入試分析でも、複数の資料から考えられる内容を考察し、指定の字数でまとめる文章表現力が要求されるとされており、「知識を覚えているか」だけでなく「知識を使って考え、書けるか」を問う出題が、教科を問わず主流になっていることがうかがえます。
理科の記述問題を分析した記事でも、教科書内容の暗記で対応できる問題と、生徒本人の思考力を問う問題とに分かれ、後者は苦手とする中学生が多いと指摘されています。
「暗記型の対策」と「思考力を鍛える対策」は、そもそも必要なアプローチが違うということが、ここからも見えてきます。

5. なぜ「対策」が必要とされるようになったのか
ここまでの内容を整理すると、次のような構造が見えてきます。
| 変化 | 内容 |
|---|---|
| ① 教科書自体の難度上昇 | 2021年改訂で、特に英語は単語数・文法量がほぼ倍増。他教科でも学習内容が増加 |
| ② 前提となる土台の変化 | 「中学からゆっくり」ではなく「小学校の学びを前提に加速」する設計に変更 |
| ③ 出題形式の変化 | 暗記・一問一答型から、記述・思考力・表現力を問う形式へ全国的にシフト |
「教科書をきちんと理解していれば解ける」という前提そのものは、実は今も変わっていません。
ただし、その「教科書」自体の中身が、私たち親世代の頃とは別物になっており、かつ「理解していればいい」の”理解”のレベルが、暗記ではなく思考・表現まで求められるようになった——
これが、「塾に通わないと太刀打ちできない」という印象の正体ではないかと考えられます。
つまり、「昔より入試が難しくなった」というより、「昔より教科書・学習内容そのものが難しくなり、かつ問われ方も変わった」という方が正確なようです。

6. この考察が、我が家の方針に与える示唆
この考察を踏まえると、我が家がAI家庭教師でやろうとしていることの意味合いが、少しクリアになります。
- 単語数・文法量の増加への対策は、コツコツとした反復学習でカバーできる部分が大きい(AIの得意分野)
- 「小学校英語が前提」という設計に対しては、まさに今、小6のうちに土台を作っておくことが理にかなっている
- 一方、「思考力・表現力を問う出題」への対策は、単純な反復学習だけでは足りず、「なぜその答えになるのか」を対話形式で深掘りできるAIとの相性が良いのではないか、というのが今の仮説です
この「思考力・表現力」の部分をAI家庭教師でどう鍛えていけるかは、正直まだ手探りです。
実際のアンカー大問方式の実践(特に大問5の自由英作文など)を通じて、このあたりの手応えも記録していきたいと思います。



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