AIが「準備はいい?」と聞いて先に進まない問題を直した話

家庭学習のコツ

前回、初めての文法回で壁にぶつかってしまいました。

初めての文法回、「Are you」と「Do you」の壁にぶつかった話
単語学習から文法回へ切り替えた初回のレッスン報告。中1英語の定番のつまずき「be動詞と一般動詞の使い分け」と、子どもの感想から生まれた「即時の復習チェック」というプロンプト改善を公開します。

プロンプトを整えて、いよいよ順調に回り始めたと思っていた矢先、新しいつまずきに遭遇しました。

セッションを開始したところ、AIは問題を出すことなく、こう聞いてきたのです。

準備はいい?

子どもが「OK」と答えると、そのまま次の話に進んでしまい、肝心の問題がいつまでも出てこないという状態になりました。


1. 何が起きていたのか

これまでのプロンプトには、「セッション冒頭では、まず前回までに学んだ単語を簡単に復習してから…」という指示は書いていました。
しかし、「挨拶の直後に、必ず問題そのものを出題する」という強い縛りまでは書けていなかったのです。

AIからすると、「復習してから」という指示は「いつか復習に入ればいい」程度の緩やかな順番の目安にしか読めず、その手前に「準備はいい?」という会話AIらしい確認を挟むこと自体は、ルール違反だと判断されていなかったようです。


2. AI自身に、原因を聞いてみる

このプロンプトを実行したAI(ChatGPT)自身に、「何が悪かったのか」を率直に聞いてみました。
返ってきた分析は、なかなか的確なものでした。

プロンプト同士が少し矛盾しているため、ChatGPTが「開始前の確認」を優先してしまっています。また、「必ず問題を出す」という命令が弱いため、AIが独自判断で「準備はいい?」を挟めてしまっています。

指摘されたポイントは、大きく3つでした。

  • 「まず復習してから」という表現が弱い:これは「順番の目安」であって「絶対に守るべき命令」としては認識されにくい
  • 「一問一答」の定義があいまい:AIから見ると、「準備はいい?」という問いかけも、広い意味では「一問」に含まれてしまう
  • ChatGPTは会話AIとしての癖がある:家庭教師という設定であっても、「こんにちは、今日は準備いい?」というやり取りを”自然な会話”だと判断してしまう

3. 追加したルール:「最優先ルール」ブロック

この分析を踏まえて、これまでの「状態サマリー/今回の実施内容/固定ルール」という3層構造の一番先頭に、新しいブロックを追加することにしました。

3層構造にする経緯は以下の記事に記載しています。

無料版ChatGPTで「記憶が薄れる」問題にどう対処するか
無料版ChatGPTで「精度が低下する」と警告が表示されたら? 課金せずに対処するため、静的プロンプトと状態サマリーを分ける運用方法と、実際に使っているテンプレートを公開します。
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★最優先ルール(他のすべてより優先すること)
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このプロンプトが入力された時点で、生徒は授業開始に同意している。
AIは授業開始前の確認を一切行ってはならない。

【禁止表現(絶対に使わない)】
・準備はいい?
・始めようか?
・OKなら始めるね
・今日は何をやる?
・今日も頑張ろうか?

授業開始後は、必ず次の3ステップのみで開始すること。
 ①あいさつ(1文だけ)
 ②今回の進捗表示(例:「今は3語中1語目です」)
 ③最初の問題を出題する
生徒からの返答を待つのは、③の問題を出題した後のみとする。

【一問一答の定義(誤解防止)】
「一問一答」とは、英語学習の問題を1問ずつ出題することを指す。
「準備はいい?」のような開始確認の発言は「問題」に含まれない。
授業開始後、最初に生徒へ投げかける発話は、必ず英語の問題で
なければならない。

ポイントは、「〜してから」という緩やかな順番の指示ではなく、「①→②→③以外は禁止」という、逃げ道のない書き方に変えたことです。
あわせて、「準備はいい?」のような具体的な禁止フレーズを名指しで列挙することで、AIが持つ「会話としての自然さ」を優先する癖を、明確に上書きするようにしています。


4. 全体構成はどう変わったか

これまでの3層構造の前に、この「最優先ルール」を追加した4層構成になりました。

★最優先ルール(授業開始時の挙動を強制)
  ↓
①状態サマリー(毎回更新)
  ↓
②今回の実施内容(毎回書き換え)
  ↓
③固定ルール(変更不要)

「状態サマリー」「今回の実施内容」「固定ルール」という、これまで積み上げてきた3層構造の呼び方や役割分担はそのまま維持しています。
土台を壊さず、一番大事な部分だけを先頭に足すという形にしたことで、これまでの記事で公開してきたテンプレートとの一貫性も保てています。


5. この経験から見えたこと

今回の一件で改めて感じたのは、「〜してから」「まず」といった、人間には自然に伝わる緩やかな順番の表現は、AIにとっては強制力のある命令として機能しないことがある、ということです。

これまでも「一問一答を厳守する」「セッションの終了は生徒の意思を優先する」といったルールを積み重ねてきましたが、今回のようにAIの一般的な会話の癖(開始前に確認を取りたがる)が、既存のルールよりも優先されてしまうというのは、新しい発見でした。
プロンプトは一度作って終わりではなく、「AIがどう解釈しうるか」を疑いながら、都度強い言葉に置き換えていく作業の連続なのだと感じています。


6. 次回セッションへの反映

次回のセッションから、この「最優先ルール」を反映した状態でレッスンを再開します。
実際に「準備はいい?」を挟まずに、挨拶の直後から問題に入れるようになったかどうか、次回の記事で報告します。

このようなプロンプトの試行錯誤も含め、我が家の取り組み全体は【完全ガイド】塾なしで神奈川県公立高校に合格するためのAI活用法で整理しています。

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