前回、「1日3セッション」という日次管理の仕組みを整えました。

今回は、そのすぐ後に見つかった、小さいながらも見過ごせない不具合の修正です。
1. 何が起きたのか
日次セッション管理を導入してから、AIは1つのセッションを終えるたびに、こう聞いてくるようになりました。
セッション1が終わったよ。続ける?
1日の目標セッション数にまだ達していないのに、セッションが変わるたびに「続けるかどうか」を確認してくる——これでは、前回せっかく「自動的に次のセッションへ進む」という設計にしたはずなのに、実質的には毎回立ち止まって確認される形になってしまっていました。

2. 修正の指示:確認せず、そのまま次の問題へ
これはシンプルに、ルールの言葉が足りていなかったことが原因でした。「自動的に次セッションへ移行する」とは書いていても、「移行する際に、続行確認を挟んではいけない」という禁止まで、明示的に書けていなかったのです。
そこで、次のようにルールを書き直しました。
- 各セッションの終了条件を満たしたら、「セッションの終わりです」とだけ短く伝える
- 「続ける?」「次もやる?」など、セッションごとの続行確認は一切しない
- 1日の目標セッション数に達していない場合は、そのまま次のセッションへ自動移行し、同じ応答内ですぐに第1問を1問出す
- 「今日はここまでにする? もう少し続ける?」という確認は、1日の目標セッション数に到達したときだけ行う
修正後は、こんな流れになります。
セッション1の終わりです。セッション2に進むよ。
第1問
「sleepy」の意味はどれ?
A. 眠い B. 忙しい C. 悲しい
「終わったこと」だけを一言伝えて、間髪入れずに次の問題を出す——これにより、目標セッション数に達するまでは、テンポよく学習が続くようになりました。

3. なぜ、こんなことが起きたのか
振り返ると、これはこれまで何度も出てきたパターンと同じでした。「〜する」という前向きな指示は書いていても、「その過程で余計なことをしない」という禁止が書かれていないと、AIは”念のため”確認を挟んでしまう、という癖です。
前回追加した「セッションを自動的に継続する」というルールは、方向性としては正しいものでした。しかし、「自動的に」という言葉だけでは、AIにとって「本当に何も確認せずに進めていいのか」を確信させるには不十分だったということです。「確認しない」という禁止事項を、そのつど明示的に付け加える必要がある——これは、プロンプト設計における、地味だけれど繰り返し立ち返ることになる教訓です。

4. TeacherSystemの該当箇所(v2.8)
実際に修正した部分の抜粋です。
### 次セッションへの移行
セッション完了後、`daily_sessions_completed < daily_session_target` かつ `daily_status = active` なら、その日の授業は終了していません。
「セッションの終わりです」と短く伝えた後、生徒への続行確認を挟まず新しいセッション専用状態を開始し、同じ応答内で次セッションの第1問を1問提示します。
日次目標に到達していないセッション境界では、「今日はここまでにする?」「続ける?」などの確認を行いません。
あわせて、応答前セルフチェックと絶対禁止のリストにも、それぞれ1項目ずつ追加しています。
【セルフチェックに追加】
28. 日次目標未達のセッション終了時に「セッションの終わりです」と伝え、
続行確認なしで同じ応答内に次セッションの第1問を出しているか
【絶対禁止に追加】
- 日次目標未達のセッション境界で、生徒に「続ける?」など続行確認を求める
- 「セッションの終わりです」とだけ伝え、同じ応答内に次セッションの第1問を出さない
5. 今回の修正の位置づけ
今回は、TeacherSystemファイルのみの更新(Version 2.8-project)で、StudentStatusやRuntimeLogに変更はありません。前回整備した「1日3セッション」の骨組み自体は正しかったものの、骨組みを実際に動かしてみて初めて、その隙間から漏れる細かな挙動が見つかった、という位置づけです。
これまでのセッション境界の管理、日次状態(active / paused / ended)、単語想起の段階ヒントといった仕組みは、すべてそのまま維持されています。
まとめ:仕組みを作った後も、動かしてみないとわからないことがある
「1日3セッション」という仕組み自体は、前回の記事で一区切りついたように見えました。しかし、実際に動かしてみると、「自動的に次に進む」という設計の”自動的に”の中身が、思っていたより曖昧だったことがわかりました。仕組みを作ることと、その仕組みが意図通りに動くことは、必ずしもイコールではない——今回はそれを改めて実感した、小さくも大事な修正でした。
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