前回、AIに実際の模擬テストを見せながら「今日はこの大問だけを倒す」という進め方(アンカー大問方式)を設計しました。今回は、これを実際にChatGPTに指示して試してみた1回目の記録です。
結論から言うと、設計段階では気づけなかった課題が、実際にやってみて初めて5つも見つかりました。 今回は、その課題と、そこから見えた改善のヒントを正直に共有します。
1. 使ったプロンプト(アンカー大問方式・初版)
まず、実際に使ったプロンプトの全文です。神奈川県内の中学校の模擬テスト(大問1〜5で構成)をゴールとして読み込ませ、「今日はそのうち大問2だけをやる」という形で進める設計にしていました。
ここまでの診断結果とオーダーメイドカリキュラムをもとに、
「第1段階:アルファベット・ローマ字・基礎単語」のレッスンを、
以下の「アンカー大問方式」で進めてください。
【最終ゴールとなる模擬テスト(必ず全体を把握してから進めること)】
神奈川県公立中学校「1年・春の定期試験」想定模擬テスト
目標時間: 45分 / 100点満点
試験範囲目安: 教科書(Here We Go! 等)Unit 1〜Unit 2
■ 大問1:リスニング問題(15点)
【放送文】
"Hello. My name is Alex. I am from Canada. I like sports. I play soccer every day. I cannot swim well, but I like swimming too. Thank you."
(1) アレックスさんの出身国を日本語で書きなさい。(5点)
(2) アレックスさんが毎日しているスポーツを英語で書きなさい。(5点)
(3) 放送の内容と合っているものを、次のア〜ウから1つ選び、記号で答えなさい。(5点)
ア:アレックスさんは水泳がとても得意である。
イ:アレックスさんは水泳があまり得意ではないが、好きである。
ウ:アレックスさんはスポーツがあまり好きではない。
■ 大問2:アルファベットと基本単語(15点)
(1) 次の日本語に合う英単語を正しく書きなさい。ただし、すべて小文字で始めること。(各3点)
① 音楽(mから始まる) ② 先生(tから始まる) ③ 練習する(pから始まる)
(2) 次の点線(4線)のどこに文字を配置するか注意して、指定された単語を正しく書きなさい。(各3点)
① guitar(1つの文字が下の線からはみ出すルールに注意)
② English(最初の文字が大文字になるルールに注意)
■ 大問3:文法・空欄補充問題(20点)
(1) A: (①)you from Yokohama? B: Yes, I(②).
(2) A: Do you like baseball? B: No, I(③). I(④)basketball.
(3) A: I(⑤)play the piano.
■ 大問4:語句整序(並べ替え)問題(20点)
(1) ( lives / I / in / Yokohama ). (私は横浜に住んでいます)
(2) ( a / you / do / dog / have )? (あなたは犬を飼っていますか)
(3) ( like / what / you / do / sports )? (あなたは何のスポーツが好きですか)
(4) ( my / not / is / notebook / this ). (これは私のノートではありません)
■ 大問5:表現・自由英作文(30点)
新しいALTの先生に向けて、自己紹介を3文以上の英語で書く。
(1文目:名前/2文目:好きなこと・できること/3文目:先生への質問)
【本日のレッスンの進め方(アンカー大問方式)】
1. まず生徒にこう伝える:
「中1の期末テストでは、こういう大きな問題が5つ出るんだよ。
今日はそのうちの1つ、『大問2:アルファベットと基本単語』を一緒にやってみよう」
2. 大問2の問題文をそのまま生徒に見せ、まずは今の実力で挑戦させる。
3. その後、大問2を解けるようになるために必要な部品を分解し、
レベル0から順に練習させる。
4. 部品の練習が進んだら、最初に見せた大問2にもう一度挑戦させる。
5. 1回のセッションでは、アンカー大問は1つに絞る。他の大問には触れない。
2. 実際にやってみて見えた5つの課題
意気込んで臨んだ1回目でしたが、正直なところ、うまくいかない点が次々と出てきました。
課題①:肝心の問題文が表示されなかった
「大問2の問題文をそのまま見せる」という指示を書いたにもかかわらず、実際には問題文が省略され、いきなり「今の実力で挑戦してみよう」という声かけから始まってしまいました。
子どもは何を問われているのかわからないまま答えることになり、これでは診断の意味がありません。

課題②:一問一答になっていなかった
大問2には複数の小問(①②③)がありますが、これらが一度にまとめて出題されてしまいました。
子どもは「1問ずつ答えたい」のに、複数の質問が一気に来ることで、何から答えればいいのか混乱し、ちぐはぐなやり取りになってストレスを感じていた様子でした。

課題③:説明の後、何をすべきかわからなくなる
AIが解説を挟んだ後、次に何を答えればいいのかが明示されないことがありました。
生徒は「常に問題に答えたい」というモードでいるのに、説明だけで終わってしまうと、次のアクションが宙に浮いてしまいます。
課題④:続けたいのに打ち切られる
3問ほど進んだところで、子どもが「続けたい」と伝えたにもかかわらず、AIは「明日また頑張ろう」と一方的にセッションを終えてしまいました。
続ける・終わるの判断が、生徒ではなくAI任せになっていたことが原因です。

課題⑤:間違えた問題の振り返りがなかった
セッションの中で間違えた問題があっても、それをそのままにして終わってしまいました。
「間違えたところをもう一度確認する」というフェーズが、そもそもプロンプトに存在していなかったのです。
3. なぜこれらの課題が起きたのか
振り返ってみると、初版のプロンプトには「〜してください」という指示はあっても、”絶対に省略してはいけない”という強制力のある書き方になっていなかったという共通点がありました。
AIは指示を”参考”程度に解釈してしまうことがあり、特に「問題文をそのまま見せる」「1問ずつ出題する」といった、地味だけれど致命的に重要な部分は、明示的に「禁止」「絶対に」という強い言葉で縛らないと、簡単に省略されてしまうようです。

4. 改訂の方向性
この5つの課題を踏まえて、プロンプトに以下の修正を加えました。
- 問題文は「一字一句正確に」提示することを明記し、省略・要約を禁止
- 出題は必ず1問ずつ、次の問題は前の回答を受け取ってからのみ提示
- 説明の直後は、必ず「次はこれに答えてみよう」と次の行動を1つ明示
- セッションの終了は生徒の意思を最優先し、「続けたい」を打ち切らない
- セッション終盤に、間違えた問題だけをもう一度出題し直す「間違い直し」フェーズを新設
改訂版プロンプトを使った2回目のレッスンでは、これらの課題がどう改善されたか、そして子ども自身から新しい気づきが生まれた様子を、次回の記事で報告します。

この試行錯誤も含めた、AI家庭教師での取り組み全体の流れは、【完全ガイド】塾なしで神奈川県公立高校に合格するためのAI活用法でご覧いただけます。


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